ビジネスチャットを開発・運営する「Chatwork株式会社」が2019.9.24にマザーズに上場しました。私も利用しています!
資本政策の分析に使用したのは、謄本2通とChatworkの一の部です。
種類株式で資金調達を行ってきたスタートアップベンチャーですが、シリーズBまでなので、かなりシンプルな資本政策です。
ストックオプションは7回発行しています。
創業から約15年でのIPOでした。
ちなみに、Chatwork社の創業は2004.11.11ですが、ビジネスチャットのChatwork自体のリリースは2011年で、それまではホームページ支援サービスやセキュリティ事業をメインに事業を行っていたようです。
かなりシンプルな資本政策でマザーズ上場を果たしたChatwork社ですが、TechCrunchのChatworkの記事を読んで、このシンプルな資本政策の理由が分かりました。
ずっと黒字経営を続けていましたが、後発のSlackが伸びてきていることなどの要因で、外部資本を入れることを決めたそうです。
黒字会社が外部資本を入れることを決めた良い事例だと思いますので、資本政策を確認していきましょう。
資金調達は2回だけなので、かなりシンプルなグラフになっています。
エクイティでの資金調達額は約18億円でした。
シリーズAのpost-valuetionで既に50億円になっています。その9か月後にシリーズBでpost-valuetion90億円。
そこからエクイティでの調達はせずIPOとなりました。
以下の表ですが、株式分割が2015.1.31に500分割と、IPO直前期である2019.6.19に200分割と、2回されているため、便宜上、元々、株式分割がされていたと仮定して表に数字を入れています。
普通株式の価額は正確には読み取れませんでしたが、設立時に1000万円で200株発行しているので、1株50,000円で設立されたものと思われます。
初めて外部資本を入れたシリーズAの時点でChatwork自体はかなり有名なツールであった影響か、いきなりpost-valuetion50億円です。
各シリーズの株主は以下です。
シリーズA | GMO VenturePartners |
シリーズB | ジャフコ、新生企業、SMBC、GMO VenturePartners |
ストックオプションは全部で7回発行しています。
以下の表のパーセントはストックオプションの発行時点の潜在株の割合にしています。IPO時点での潜在株の割合は11.1%です。
こちらも特徴的なグラフになっています。
IPOを目指す会社の場合、シリーズAの前や後にストックオプションを発行していることが多い印象ですが、Chatwork社の場合はシリーズBの後に連続して発行しています。
行使価額ですが、第1回から第6回まで250円。こちらはシリーズBの株価と全く同じだったので、普通株式の株価算定はしなかった模様です。第7回は「1株につき株式公開時の公開価格」ということなので、株式公開日の初値である1,480円になると思われます。
一の部より、新株予約権の付与者をエクセルを使ってユニークにしたところ、101名に付与しています。
従業員数がちょうど100名ということで、取締役・監査役等にも付与していたとしても、ほぼ全ての従業員にストックオプションを付与しているものと思われます。
Chatworkは「社員第一主義」を掲げており、厚い福利厚生がある会社でも有名です。そういった思いから従業員にも広くストックオプションを付与しているようです。
Chatwork社は外部資本を入れない方針を変え、エクイティでの資金調達を進め、IPOを達成した企業です。
黒字経営で生まれた利益を事業に回すだけでなく、エイクティで資金を調達しアクセルを踏み込んだ事例として、とても良いと思います。
今後もIPO達成した会社の資本政策をアップしていく予定です。同時にIPO準備会社の資本政策も分析します。(※こちらについては公開は差し控えたいと思います)
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