誰でも簡単にデザイン性の高いネットショップが作成できる仕組みを提供するEコマースプラットフォーム「BASE(ベイス)」を開発するBASE株式会社が2019.10.25にマザーズに上場します。
BASEは2012.12.11に東京都港区で創業されました。その後、本店を港→渋谷→港と本店移転を行っていたため、閉鎖謄本2通、現行の謄本1通の計3通取得しての資本政策の分析となりました。もちろんBASEの一の部も使用しています。
種類株式で資金調達を行ってきたスタートアップベンチャーで、シリーズEまで進んでいました。ストックオプションも7回発行しています。
創業から約7年弱でのIPOということで、かなり早い方です。
シリーズAの前にも何度か普通株式での調達を行っていましたが、ここでは省略してシリーズAの直前までを記載しています。
閉鎖謄本から設立からの資金調達履歴が分かったので、表を作り直しました。ただ、シードファイナンスに関しては、調達金額の全額を資本金に入れている可能性もあるので、あくまで想定の時価総額となっていますので、ご了承ください。
シリーズCを除いて、大体、倍のバリュエーションで資金調達を進めています。IPO時点での時価総額は、約306億円と想定されます。(2019.9.27時点) 初値ベース(1株1,210円)で約227億円でした。
エクイティでの資金調達額は約48億円でした。
BASEの一の部より、ショップ開設数の推移があったので、貼り付けておきます。
順調に利用店舗数が増えており、そのあたりがバリュエーションの上昇に繋がったのでしょうか。
前記のとおり、シリーズAの前に普通株式で何度か調達をしていますが、シリーズAの直前のみpreシリーズAとしました。謄本から設立時以降の資金調達履歴を追えたため、全部記載しました。
シリーズEは、正確には3回に分けられて登記されていますが、1、2回目までは募集株式の発行を払込期間とするスキームで調達したと思われ、実質は1回の株主総会決議で株式の発行を決議しているのだと推測されます。そのため、前半をシリーズE-1、後半をシリーズE-2と分けました。
IPOの前に株式を400分割しています。
下の表はクリックすると拡大表示されます。(スマホの方はPCなどの大きい画面でご確認ください。m(_ _)m)
シードファイナンスの調達先情報が見つけられませんでしたが、外部の投資家から調達していた場合、シリーズAに入るころには、希薄化がかなり進んでいることになります。
設立時点の普通株の割合はシリーズAの直前で55.42%にまで下がっています。
私見ですが、シリーズA以降はとてもいい感じで株の放出をしてきていると思います。特にシリーズDはIPOの直前々々期(n-3)であり、調達金額が15億円であり、放出も約24%とこのタイミングでアクセルを踏み込んだのではないかと想像します。
シリーズAから、そうそうたる方たちが株主になっているあたり、期待値の高さが伺えるのではないでしょうか。
シリーズA | サイバーエージェント |
シリーズB | グローバル・ブレイン |
シリーズC | メルカリ |
シリーズD | SBI Ventures、Fin Techビジネスイノベーション、サンエイト、SMBC、セコイア |
シリーズE | マネーフォワード、グローバル・ブレイン、丸井グループ |
ちなみに、創業者である代表取締役鶴岡氏のIPO時点での保有率は、21.13%(潜在株込み)です。
ストックオプションは全部で7回発行しています。
以下の表のパーセントはストックオプションの発行時点の潜在株の割合にしていますので、権利喪失者もいるためもっと下がっており、IPO時点での潜在株の割合は9.71%です。
行使価額ですが、第1回、第2回は27,700円。第3回以降は全て28,000円となっています。
普通株式で調達した最後のラウンドの株価が27,700円だったので、これをそのまま使ったものと思われます。
資金調達を重ねた上で、行使価額が変わっていませんが税制適格ストックオプションとしてOKなのか、これだけではちょっと分かりませんでした。
普段より、資金調達したスタートアップベンチャーの登記簿謄本を取得し、資本政策を分析していますが、今後は上場を達成したベンチャーの資本政策を分析していきたいと思います。
本分析より、スタートアップベンチャーに関わる人にとって何か良いきっかけになれば幸いです。
また、スタートアップベンチャーに関する法務・登記関係について日々研究・分析していますので、何かご質問があればお気軽にご相談ください!ご相談は無料です!