airCloset(エアークローゼット)の資本政策



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airCloset(エアークローゼット)の資本政策
ストックオプション 種類株式 時価総額
  令和4年8月2日 公開 







出典元:airCloset(エアークローゼット)株式会社



国内在住の女性に対して、スタイリストが一人一人の顧客の好みに合わせた洋服を選定(パーソナルスタイリング)し個宅に向けて配送しレンタルするサービス「airCloset」を展開している株式会社エアークローゼットが2022年7月29日にグロース市場に上場しました。

株式会社エアークローゼットは2016年7月15日に千葉県稲毛区で設立され、その後東京都中央区→港区へと移転されましたので、閉鎖事項全部証明書2通と履歴事項全部証明書1通、プラス港区での過去の記録が既に3年経過し見れなくなっていたので、紙の閉鎖事項全部証明書も取得しての分析となりました。

中央区新川というと、私のモロ地元になりますが、親近感が沸きました。

妻もエアークローゼットユーザーなので、これは分析したい!と思い約2年ぶりの投稿になります。


時価総額推移






全体的にバリュエーションの上がり方は順当の様に思えますが、ダウンラウンドIPOになってしまったようです。

コロナの最中でも順調にユーザー数を伸ばしてきました。コロナはアパレル業界に大打撃を与えましたが、エアークローゼットにとっては追い風だったようですね。

お洒落して外出する頻度は減りました。減ったからこそ、ここぞという時にプロがスタイリングして提案してくれて自宅まで宅配してくれるエアークローゼットはマッチしたのでしょうね。


以下はエアークローゼットの一の部より抜粋してきたユーザー数の推移です。





順調に右肩あがりでユーザー数が増えています。

シリーズAのポストバリュエーションが18億だったので、シリーズAにしては比較的大きめのバリュエーションであったと思います。

エアークローゼットのニュースリリースを見ると、2016年1月5日のシリーズA調達の記事の中に、ユーザ数約7万人と記載がありましたので、2015年2月のサービス開始から1年程でかなりのトラフィックが出ていたことになります(無料会員数)。その辺りも評価されたバリュエーションだったのではないでしょうか。

ちなみにシリーズA調達の記事には10億円調達とあるので、エクイティファイナンスでの調達額は約5億円で残りの5億円はデットのようです。





シリーズごとのシェア














表が長くなったので、3つに分割しています。

エクイティでの調達金額は累計約35億円でした。




シリーズごとの投資家

各シリーズの投資家情報はエアークローゼットのニュースリリースと目論見書から引っ張ってきました。


設立時 天沼氏、前川氏、小谷氏 ※予想になります※
シード1 サムライインキュベート? ※予想になります※
シード2 寺田倉庫、エンジェル投資家
シリーズA 寺田倉庫(追加出資)、ジャフコ、中園ホールディングス、セゾン・ベンチャーズ他
シリーズB ジャフコ(追加出資)、中園ホールディングス(追加出資)他
シリーズC 大和ハウス工業
シリーズD Monoful Pte. Ltd、三菱UFJキャピタル7号投資事業有限責任組合、D4V1号投資事業有限責任組合



寺田倉庫やジャフコが追加出資をしています。特にジャフコはA種ののち株価が2倍以上になったB種にも出資しています。

これはエアークローゼットの事業計画が順調に推移し、納得のいくKPIが出ていたのではないでしょうか。

私も資本政策のご相談も受けるのですが、やはりフェアな事業計画を立てて、それを着実に達成していくようにお話させていただいています。

無理な数字・事業計画を立てて、達成できないと次の資金調達が難しくなるorバリュエーションが上がらなくなるからです。

2014年9月のシード1の出資者情報がニュースリリースからは見つからなかったのですが、2014年8月にサムライインキュベートの榊原氏が取締役として加入し、さらに目論見書にもサムライインキュベートが記載されているので、シード1の投資家はサムライインキュベートだと思われます。

シード1自体は14.52%の新株発行でしたが、サムライインキュベートのIPO時点での持株比率は3.5%だったので、他にも出資者がいたとも考えられますが、これ以上はちょっと分かりませんでした。

シリーズCで出資した大和ハウス工業は第5回有償新株予約権の保有者でもありましたが、2021年9月30日に、住友商事などに株・新株予約権ともに全て移動しており、資本業務提携は解消していたようです。



ストックオプションの発行タイミング

ストックオプションは7回発行しており(第3回新株予約権はストックオプションでない)、IPO時点での潜在株の割合は4.1%です。







回数 割当日 個数 株数 行使価額 発行時点の
割合
備考
第1回2015.8.31259259(207,200)125,0007.4%行使済
第2回2015.8.31125125(100,000)125,0003.6%-
第4回2017.4.7121121(96,800)383,5802.5%-
第5回2018.6.29800800(640,000)825,00011.7%行使済
第6回2020.4.163535(28,000)977,6360.4%-
第7回2021.3.31100100(80,000)977,6361.1%-
第8回2021.3.31115115(92,000)977,6361.3%-


カッコの数字は800分割の株式分割を実施した後の数字になります。

第5回新株予約権は有償新株予約権だったので、そちらは株価算定を行い、他の新株予約権は直近の株価をそのまま権利行使価額とした模様です。

IPO時点での潜在株の割合は4.1%と少な目ですが、放出割合の多かった第1回と第5回が既に行使済みでした。

第1回新株予約権は代表取締役の天沼氏、取締役の前川氏が保有、第5回有償新株予約権は大和ハウス工業が保有(後に譲渡し、SIG Asia Fundのみが行使)していました。


まとめ

資本政策の分析は、ずっと続けてましたが、記事にするのは久しぶりになります。今後も分析を続けていきたいと思います!